離婚調停の話し方で有利にするポイント

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離婚調停で実際に調停委員を前にして話をする際に、気をつけるべきことがあります。それは、悪い印象を与えないような話し方を心掛けることです。

最初は緊張するかもしれませんが、あせらないことが大事です。具体的には、極端な早口で話さない、話を聞きとれるようにゆっくりはっきりと話す、調停委員を「先生」や「調停委員さん」と呼び、離婚の相手方の話を出すときは「夫」や「妻」などの呼び名をきちんと使うなど、タメ口やマナーのない話し方をしなければまずは大丈夫です。

詳しく掘り下げていきます。

離婚調停で意識したほうがいい話し方

離婚調停の話し方というと、口調だけに意識が集中してしまいますが、調停というのはいわば面接のようなものです。

全身で話すという意識をまず持つ事が大切です。そのためにはまずは姿勢を意識して下さい。

当たり前の事を書いてしまいますが、人に話を聞いてもらう、人に対して話しをする時、足をくんだり、ふんぞり返るような姿勢はいけません。

調停室に入ったら、会釈をして静かに椅子を入って背筋を伸ばして、浅めに椅子に座ります。入室をしてから会話をしている時間は大体15~30分ほどなので出来るだけ姿勢を崩さないようにしておきましょう。

ガチガチに緊張する必要はないのですが、話を聞いて相談にのってもらう立場であるという事、そして調停委員達は、自分のために時間を作ってくれている。という事を忘れないで欲しいと思います。

話をする時は調停委員の顔をしっかりと見ましょう。特に調停委員が話をしている時は、よそ見をせず、しっかり顔を向けて適度に相づちをうちながら話を聞いて下さい。ただし、意味を考えずに相づちをうってしまうと、「納得した」と思われて話を進められてしまう可能性があるので、返事は慎重におこなってください。

あなたが話をする時は、調停委員の眉間あたりや口元あたりを見て話をすると良いでしょう。目を見るとどうしても、にらんでしまうようになる事もありますし、威圧感を与えてしまいがちです。

あなたに向かって話をしています、というアピールは大切なのですが、目を見すぎないように話す事で、柔らかくになります。

調停委員とは社会的にそれなりに立場のある方々です。ですので、人を見るという事を非常に重視しているため、自分が伝えたい事の説得力を増すためにも、多少の演技は必要だと私は思います。ぶっつけ本番でやるよりも、何度か練習をしておくと良いと思います。

調停委員について

調停委員とは、離婚調停の時に、中立的な立場で、申立人や相手側の主張を聴き、時にはアドバイスや説得をしてくれたりする方たちのことです。「調停員」と呼ばれることもあります。

彼らは調停で民間人の立場からの良識を反映させるため、豊富な人生知識や専門知識を持つ人たちの中から選ばれています。年齢は、40歳以上で70歳未満が原則であり、職業は弁護士、医師、カウンセラー、大学の先生、会計士、建築士などの専門職がいたり、地域社会の活動に貢献されてきた方々などがいます。

もっとも、全員が法律の専門家ではないので、離婚調停で法律的な話になった時は、注意が必要です。

実際に離婚調停では、調停委員2名と家事審判官(裁判官)1名が出席します。離婚調停当日には、調停委員の男女1名ずつが選ばれ、調停が運営されて行きます。裁判官の方は、毎回は出席することがなく、一般的には調停が終了になる段階で参加されることが多いです。

調停委員は中立ではなくて、不公平なの?

調停の場でよくあるケースとしては、外面が良く弁の達者な夫の肩ばかり持つ、と妻が不公平だと感じ、感情的になってしまいどんどん不利な状況になってしまう。そして調停委員にたしなめられて、「そんなにあれもこれも無理な要求ばかりしても仕方ないでしょう」と言われる。

その結果、妻は少しでも早く片付くよう、譲歩しそうなほうに働きかけてるなと、不信感を抱いてしまい、さらに話し合いがうまく進まないという事例。

変更する事は可能?

調停委員との当日のやり取りをやったところ、相性が悪い、話を全然聴いてくれない、意見を押し付けてくる、などの不公平な部分があったとしても、原則的に交代はできません。しかし、こちらの意向と関係なしに、極たまにですが、何かの事情で途中で変更されることもあるようです。

自分が当たった調停委員がハズレであると感じても、まずはハズレなりに相手に合わせてみることをお勧めします。とりあえず建前としては、中立的な立場で話は聴いてくれて、解決案をアドバイスしてくれるものですが、実際には、なかなか建前通りの調停委員の方はいらっしゃらないようです。

ハズレても、まあ、こんなものでしょう、とあらかじめ過度な期待はしてこない方がハズレた時の心理的ダメージは少ないです。

ですが、調停委員がどういう人かやり取りして行くうちに分かっても、中にはどうしても上手く付き合えない人もいるかもしれません。

やたらと相手側の肩を持つ不公平な人、何を言っても意見を聴いてくれないで批判ばかりしてくる人、とにかく調停を早く終わらせようとするやる気のない人など、あまりにも調停委員の態度が目に余るものでしたら、裁判所職員に対して、その旨と変更の希望を申し入れてみましょう。

もっとも、裁判所は一般的に閉鎖的な環境ですので、ご希望に応えられない可能性は高いようです。

逆に言えば調停委員は味方に出来る

調停委員は中立の立場で離婚調停へ臨むので、どちらか一方の味方に偏るということは、まず、ないと心得ておいた方がよいでしょう。しかし、調停委員も人間ですので、どのような印象を与える事ができたかによって、調停の成否に影響を与えることもあります。

例えば、実際の離婚の状況がどうであれ、スーツ姿ではっきりと話ができる方とヨレているカジュアルで話がよく聞き取れない方とでは、明らかに前者の方が印象で有利です。

特に調停委員になるような方たちは、年齢層も高く、社会的身分も高い人間が多いので、身なり、言葉遣い、態度には細心の注意を払って接する必要があります。

印象を良くするためにも、特にコミュニケーション能力を上手く発揮することは重要です。自分のことや離婚のことを説明するにあたり、論理的で説得力のある主張と感情に訴えかける誠意ある態度で状況を具体的に分かって貰えるようにしましょう。

調停委員を味方につける上で、泣き叫ぶとか変わった策略が必要なのではなく、印象とその印象に基づくコミュニケーション能力が勝敗の鍵であると言えます。その点に注意を留めて取り組んでみましょう。

話しながら重要な調停委員を見分けることも肝心

なお調停委員は男女1人ずついます。どちらの調停委員がキーマンかを話していくうちに見分けることが大事です。大事なポイントを話すときはキーマンに、それ以外の話は二人に均等に話を振るようにしましょう。

ひとりとだけ話していると、もうひとりから冷たい視線を送られこともあります。基本的に調停委員から振られる話に関しては、全て真剣に話を聴き、相槌を適度に打つなど聴く姿勢を保ちましょう。

話をしている際に、離婚の相手方は同席しませんが、相手方は、あなたのことをこう言っているが、本当か、など質問されることもあります。

その際に、相手が腹立たしいことを主張していたとしても、挑発に乗らないで、調停委員の話に静かに耳を傾けるようにしましょう。その際には、取り乱して声を荒げたりなど興奮しないように気をつけましょう。